残余乱視や睡眠時の眼位について

「残余乱視」とは眼球の角膜以外の屈折要素に起因する乱視であり、水晶体に起因する水晶体乱視などがこれに当てはまります。角膜に起因する乱視は角膜乱視といいます。従って、オルソケラトロジーレンズを含むハードコンタクトレンズを装用して、レフラクトメーターで測って乱視が出現するときに、それを残余乱視といいます。この、「残余乱視」についてはオルソケラトロジーの守備範囲を超えていることをご理解頂きたいと思います。

 

    皆さんはご自身の睡眠時の眼位を想像したことがありますか? 覚醒時の「固視」状態では眼位が正位の方でも、睡眠時には眼位が内転あるいは外転してしまう場合があり、それは「外眼筋」と呼ばれる小さな筋肉バランスの問題なのですが、その方がオルソケラトロジーを行い、眼軸中央の約2.5~4mm径の瞳孔領の範囲の角膜形状がトポグラフ的に均一な面状でフラット化していても、僅かにレンズの固定位置が睡眠時にずれてしまうためにレンズをはずして角膜上皮の再構築がきれいな同心円の面状であっても僅かにセンタリングがずれることによっていわば「人工的な角膜乱視」が出現します。

 

   裸眼視力は0.1→1.2に改善されていても「乱視が気になって満足出来ない」という方がおられました。適応検査はあくまでも覚醒状態の「固視」下で行う検査なので、睡眠時の眼位の変化までは通常想定しておらず、例えば睡眠時に眼球が内転すれば、微妙にレンズの固定位置は外側にずれてしまうので、フラット化した面のセンタリングが僅かに中心から耳側方向にずれてしまいます。この方には数パターンの微調整を行っても片眼に乱視が残ってしまいまいましたが、先ほど挙げた2つの原因を考えました。なかなか難しいケースでした。